晴山陽一『英語ベストセラー本の研究』で、ひたすら音読の効果を知った。

年代別に英語のベストセラー本を分析して、そこから究極の英語勉強法を導き出そうという本。
読んでみての結論は、晴山陽一の考えた、《英語で考える+音読》も効果があるのかもしれないけど、実績があるわけじゃない。それよりも、その学習法の根幹になっている、ある参考書を決めて、それ一つをひたすら音読する、という方法、こっちのほうが重要っぽい。


NBonlineに、この本ダイジェスト版といえる連載がある。僕はそこ経由でこの本を知った。
晴山陽一の「本で変わる、あなたの英語」
通読してみたけど、分析よりも勉強法に興味があるのなら、webだけでも十分かもしれない。
web連載の第1回に、分析から導き出した勉強法のエッセンスが載っている。

23冊の本を分析した結果、私が得た「英語学習のコツ」は、次の5項目にまとめることができる。

1. 学習の抵抗感をなくす。
2. 音読と暗誦を繰り返す。
3. リスニングを他の三技能に先んじる。
4. 継続が不可欠。
5. まず磐石の基礎を築くことが肝要。

 こうして書くと、「それだけのことか」という印象を持たれるかもしれない。では、これらを逆の言い方にしてご覧に入れよう。

1. 英語に抵抗感を持っていたら、学習は続かない。
2. 体を使わない英語学習は身につかない。
3. 音の伴わない英語は、使いものにならない。
4. 一朝一夕に英語力がつくというのは幻想に過ぎない。
5. 基礎を手抜きすると、どんなに勉強をしても砂上の楼閣になりかねない。
http://business.nikkeibp.co.jp/article/life/20080523/158654/

この中でもっとも重視されてる項目が「音読」で、それは國弘正雄『英語の話しかた』『國弘流 英語の話しかた』によるところが大きい。本書でも、この本に対して多くのページが割かれている。
そしてそのエッセンスは、先のweb連載では2回目にまとめられている。

『國弘流 英語の話しかた』の中で「只管朗読」の基本的なやり方を詳述している箇所を要約してみよう。音読が次第に深化(進化)していく様がよくわかる。

1. 只管朗読の必要に目覚め、テキストを決める。
2. テープ(今ならCD)を聞き、テキストの意味を理解する。
3. 単語レベルの発音をクリアする。
4. つっかえずに読めるようになる。
5. 次第に構文的な切れ目がわかってくる。
6. 日本語に頼らずに意味が文の先頭から自然にとれる。
7. イメージが生き生きと実感できる
8. 朗読していて、自然さと楽しさが感じられる。
9. テキストの例文の応用可能性にどんどん気づく。
10. 自分の英語力が広がっていく可能性を実感する。
http://business.nikkeibp.co.jp/article/life/20080528/159493/

勉強法としては、これだけで十分な気がする。


ほかにも、たくさん学習法が紹介されていて、たとえば著者の考案した「英語で考える+音読」
http://business.nikkeibp.co.jp/article/life/20080612/161844/
や、起きてから寝るまで自分のやっていることを逐一英語で発音する("I gargle."とか"I work."とか)『起きてから寝るまで』シリーズのグワン式などがある。
個人的には、冠詞と数の重要性を説いた、M・ピーターセン『日本人の英語』の話しがおもしろかった。
上記連載の第6回2ページ目にもある。(NBonlineのメンバー登録が必要。登録すると毎日メールが来てうざいので捨てアドで登録するといい。)

「先日、アメリカに留学している日本人の友だちから手紙がきたが、その中に次の文章がいきなり出てきた。Last night, I ate a chicken in the backyard.(昨夜、鶏を1羽[捕まえて、そのまま]裏庭で食べ[てしまっ]た。)」
(中略)
 正しくは、I ate chicken in the backyard. と不定冠詞を省くだけでいいわけだが、このたった1文字の差は、われわれ日本人には想像が及ばないほど大きい(a chickenは「鶏丸ごと1羽」、無冠詞のchicken は「鶏肉」)。
http://business.nikkeibp.co.jp/article/life/20080612/161851/?P=2

英語の勉強法にはどういうのがあって、自分にあったやりかた、目的にあったやり方を探すにもこの本はいいと思う。その目的で言うと、web連載では足らないから、本買ったらいいんじゃないの。


個人的には、前述の『英語の話しかた』の項だけで満足してしまった。あと、今勉強に使ってる『DUO 3.0』の解説もあったので、それも興味深く読んだ。
自分が使ってるテキストが本書で扱われているなら、そのテキストが英語学習全体のどこに位置づけられるのかを知るのにもよいと思う。

英語ベストセラー本の研究 (幻冬舎新書)

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國弘流英語の話しかた

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日本人の英語 (岩波新書)

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DUO 3.0

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