『最強の集中術』は、集中力を維持するための実践的な本。
- 作者: ルーシー・ジョー・パラディーノ,森田由美
- 出版社/メーカー: エクスナレッジ
- 発売日: 2008/03/26
- メディア: 単行本
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上記書評を読んで購入。
本書の柱は二つ。
- 集中力が維持できない原因を、脳科学や心理学を用いて徹底的に明らかにする。
- 一口に集中できないといっても、実にさまざまなパターンがあるが、本書は各パターンごとに、原因をこと細かに分析する。
- 原因に応じた、とことん具体的な対処法を示す。
- 例示が豊富で、自分の状況に当てはめやすい。
- 原因もさまざまなパターンがあれば、対応もそれに応じてさまざまなパターンが示される。
一方の柱、集中力が維持できない原因を知る上で重要なのは、集中力ゾーンの概念。
この逆U字カーブの真ん中が集中力ゾーン。
- 刺激が弱いと左側に外れる。退屈で集中力が無くなる。
- 刺激が強すぎると右側に外れる。プレッシャーで冷静に考えられない。
自分がこのカーブのどこにいるか、これを知ることが、集中力不足の原因を知る第一歩となる。
そして対処方法は、集中力ゾーンから外れてしまっている自分を、いかにゾーンに戻すか、という観点で一貫している。
以下に、自分で利用するための抜粋を長々と書くが、この中で、次の3つは実践していて、集中力を取り戻す手助けになっていることを感じる。
- 集中力ゾーンの概念を念頭に、自分がどこにいるか意識すること。
- 「自分は今、何をやっていないか?」と問いかけること。
- 先延ばしにしているほんとうの原因を考えること。
以下抜粋。
まずなにより、自分の状態を知るための方法。
- 「心の番人」に耳を傾ける。心の番人を呼び出すには、今の状態を一歩引いて客観視すること。練習方法としては、他人の目線を想像すること。「○○さんなら、こんなときなんて言うだろう」 - P.68
- アドレナリン・スコアをつけて、自分がカーブのどの位置にいるのかを把握する。 - P.70
うまく休憩が取れない、休憩しても集中力が戻らない。
- 休憩時にやることの刺激が強すぎる*1と、生産性が低下する。カーブの右端にいってしまう。これが単調な作業時だと、作業がますますつまらないものに思え、すぐまた休憩に逃げたくなる。そして作業時はカーブの左、休憩時は右と、カーブを振り子のように揺れ動く悪循環に陥り、一向に集中できない。 - P.38
- 逃避ではない、計画的な休憩をとる。 - P.84
- 休憩から戻る時間を守るよう、タイマーをかけるか、仕事に戻る時間をメモする。
- 仕事に戻りやすいような工夫をしておく。
- 戻って最初にする仕事は、自分の好きな作業にする。
- 紅茶、ミントタブレットなど、何か口にするものを持って戻る。
- 次の休憩をいつ取るか決め、先の楽しみを作る。
- 自分の状態に合わせた休憩を取る。 - P.85
- 退屈なら、刺激のあることをする。歌を歌う、友達と話す、など。
- 緊張する仕事なら、リラックスすることをする。散歩する、植物に水をやる、一人になって静かな音楽を聴く、など。
- まとまった休憩の他、ながら作業も使える。 - P.93〜
- カーブの左側にいる場合、気分を高めるためのことをする。 - P.94〜
- インストゥルメンタルの音楽を聴く。リズムのはっきりした、テンポの速いもの。
- クラシック−バロックの軽快なもの。バッハの「ブランデンブルグ協奏曲」など。
- ワールドミュージック−とくに打楽器を使った陽気なもの。
- ジャズ−にぎやかだが耳障りでないもの。
- ラグタイム−映画『スティング』のサントラ
- ジュース、冷たいハーブティーなどカフェイン抜きの飲み物を飲む。
- 軽食をとる。フルーツ、ポップコーン、ナッツなど。
- つま先を曲げ伸ばしするなど手足を動かす。
- ネットサーフィンをするのもいいが、以下に注意。
- 信頼できる良質な情報を探す。
- 見える場所に時計を置いておく。
- ネットに振り回されない。
- インストゥルメンタルの音楽を聴く。リズムのはっきりした、テンポの速いもの。
- カーブの右側にいる場合、落ち着くことをする。 - P.96〜
- インストゥルメンタルの音楽を聴く。リズムのはっきりした、テンポの速いもの。
- 温かいハーブティを飲む。カモミールティーとか。
- 軽食をとる。炭水化物は鎮静作用がある。とくに全粒炭水化物は、体にも良いのでお勧め。
- 筋肉を緊張・弛緩させる。
- 拳をぎゅっと握って10秒数え、一気に手を開いて脱力する。
- 漸進的筋弛緩法とよばれる方法。
- 他の部位の筋肉にも有効。
- パソコンの使い方に注意する。
- 新しいウィンドウは開かず、今あるウィンドウの仕事を片付ける。
- 今必要のないウィンドウはすべて閉じる。
- パソコンの電源を切って、しばらく休憩しに戸外に出る。
休憩時にとる食べ物、飲み物について。
- 大量の糖分を摂取すると、脳は一時的な興奮状態となり、その後血糖値が低下する。血糖値を安定させるよう糖分を取るのが大事。 - P.214
- カフェインを取ると目が覚めるが、効果が切れると急激に落ち込む。 - P.216
- カフェインを取ってから、血中濃度が半減するまでに要する時間は、3〜7時間。 - P.217
新しいもの好きで、ひとつのことが最後までできない。
- 退屈すると次々に新しいことを始める。新しいことをやるとアドレナリンが出てしばらく集中ゾーンにいられるが、飽きると左側に落ちる。そして途中で投げ出し、新しいことを始める。 - P.47
- もしくは、新しいことはカーブの右側まで一気に持って行き、悪循環になっているのかも。
先延ばし、逃避について。
- 先延ばしにする原因は、それをやる意欲がわかない、カーブの左側にいるからと思いがち。しかし、実際はそれをやることによって起こる結果を恐れてアドレナリンが分泌され、過度に緊張している、カーブの右側にいる場合もある。 - P.41
- 先延ばしの原因は、以下に2分される。 - P.102
- 単調で刺激の低い作業のためやりたくない。
- 自己不信、不安があり、やり遂げられる自信がない。
- パターン2で持つ不安とは、以下のようなこと。
- 失敗への不安:やらなければ結果を評価されずにすむ。
- 成功への不安:やり遂げれば、もっとがんばるよう期待される。
- 言いなりになることへの不安:やらないことで、言いなりにはならないと意思表示する。
- 単調な雑務を目の前にしてカーブの左側におり、手を付けたくないと思うとき、友達の頼みに応じると、その雑務をやらない罪悪感から逃れられる。 - P.53
- 先延ばし、不安、怒り(緊張の高まり)は、すべて恐怖心に根ざしている。この恐怖心に気づくことが大事。 - P.101
- 逃避ぐせがあると気づいたら、こう自分に問いかける。「自分は今、何をやっていないか?」 - P.77
- 会社でネットサーフィンしているときにこう問う。→あのメールへの返信が億劫で逃げていることに気づく。という感じ。
不安について。
- 不安には、正当な不安と、根拠のない不安がある。 - P.119
- 感じて当たり前の不安は、そのまま認識する。
- 不合理な不安にも、一片の真実があり、それが誇張されている。
- 私たちは「機会を逃す不安」を避けられない。 - P.146
- twitterを絶えずチェックしたくなるのも、このため。(知らない間に盛り上がっていたら、@でメッセージが来たら、)
- 「機会を逃す不安」に対しては、それをしないことを自分で選択した、自分で人生をコントロールしていると考える。 - P.204
- 思考の置き換え。「池をよけなくちゃ」と思うと池に落とす。「フェアウェイをまっすぐ」と思うこと。 - P.126
怒りについて。
- イヤなことを言われるとムッとして思考が停止したように感じる。これはアドレナリンの急激な放出により、脳が興奮状態に追いやられるため。 - P.36
- 過度な緊張状態にあるとき、物事が非常にはっきり見えているように感じるが、実際は視野が狭くなっている。自分や他人を傷つけている危険信号を見逃しがちになる。 - P.132
- 極度のストレスをクールダウンさせる方法。 - P.137
- 歌を歌う。鼻歌可。
- 両手をぎゅっと押しつけ、指先に意識を集中。
- その状況下ではばからしいと思うかもしれないが、とにかくやること。
- 怒らずに自分の要求を伝える。 - P.142
- 以下の流れで伝える。
- 事実を述べる。
- 自分がどう感じているか伝える。
- 相手の立場で見る。
- 自分の要求を伝える。
- 4を「ですが/けれど」ではじめるのはNG。
- 例。
- 新プロジェクトの問題点やコストが、今の企画書には記載されていません。
- そうした懸念材料があるため、乗り気にはなれないんです。
- 確かにこのプロジェクトは、大きな可能性を秘めています。
- チーム会議を開き、他の人の意見を聞いてみませんか。
- 自分に当てはめてやってみる。
- 以下の流れで伝える。
いつでも使える集中法。
- 4点呼吸法 - P.80
- 緊張している時はリラックス、ダレている時は集中力を取り戻させる効果がある。
- 身近にある四角いもの(扉、窓、本、ディスプレイなど)を見つけてから、以下を行なう。
- 左上の角を見つめながら、息を吸込む。(4秒間)
- 右上の角に視線を移し、息を止める。(4秒間)
- 右下の角に視線を移し、息を吐く。(4秒間)
- 左下の角に視線を移し、心の中でささやく。「リラックス、リラックス、スマイル」
- これを何度も繰り返す。
目標設定。
- 「目標設定の技術とは、必要な労力と期待される報酬によって、ゴールを抗しがたく魅力的なものにすることである」 - P.154
- 意味のある目標を見つける。「道にいきあたったら、まずこう聞いてみることだ。『この道には心があるか?』と。 - P.155
- 目標には「最大限の信頼性(本人がその目標の達成方法をきちんと説明できる)」が必要。 - P.160
- 自分がどれだけできても、ライバルがそれを上回る可能性は常にある。ライバルの出来は自分ではどうにもできないから、それに集中力を割くのは馬鹿げている。 - P.163
- 成果より努力を重視した目標設定を行なえば、外的要因は気にならなくなる。目標はあくまでも、自分が少しでも成長すること、自分なりにベストを尽くすことにおく。 - P.167
- ジョブズ曰く、周囲の期待、プライド、困惑や失敗を恐れる気持ちなどは、「死を前にした途端、どうでもよくなる」 - P.173
友人効果。
- 自分を信じてくれている人を思い浮かべる。 - P.192
- ミラーニューロンという神経組織により、人間はミジカな相手と互いに影響を与え合う。友人がスケジュールを守り、バランスの取れた生活をしていれば、自分も自然にそれをまねるようになる。 - P.231
有効なセルフトーク
- 膨大なToDoリストから、3項目だけ選び出し、ToDoリストを作る。 - P.181
- 緊張や退屈で集中力が途切れたら、3項目のToDoリストの次の項目に意識を向ける。リストの指示を正確に思い浮かべ、頭の中で繰り返す。 - P.184
- 作業内容に合わせて動詞を使った簡単なセリフを考える。 - P.186
- 報告書を書く。メールを書く。ブログを書く。−「考える、書く、考える、書く」
- データシートの作成。設定のチェック。−「正しく、正確に」
- 締め切り前の追い込み−「ペースを上げて、前に進め」
- 目標を言葉に。短期的なものから長期的なものまで。 - P.187
- 例:長期−MBA取得、短期:目の前のテキストの勉強
- 集中状態を維持する言葉。 - P.192
- 落ち着け。
- 集中。
- ゾーンに入れ。
- 万事順調。
- きっとできる。
- 自己肯定をする。自分の能力やスキル、長所に注意を向けるたび、自分でそれらの資質を肯定していることになる。 - P.193
- 快適ゾーンとは、自分が慣れ親しんだ経験範囲。そこから踏み出すと緊張するが、次第にそこも快適ゾーンとなり、自分の快適ゾーンが広がる。 - P.202
- 定期的に運動すると、体内のストレス物質が減少する。 - P.222
- 片付けができないほんとうの理由は、自分が判断できないから。処分した場合の損失が判断できず、保留にする。 - P.234
- 処分すると得られるものを考える。スペース、効率的な作業空間、気の散らない環境。 - P.237
- 意思の伝え方。動物の調教法。 - P.249
- 夫が汚れたシャツを一枚でも洗濯かごにいれたら、ありがとうと声をかける。
- 脱いだシャツを床に放り投げていたら無視する。
- ぼやいたら無視する。
メモ書きだからまとめなくてもいいじゃない。